ショートショート ネクロリンク 雄太は『ネクロリンク』が一般的に普及し始めたことに、心の底から感謝していた。『ネクロリンク』は亡くなった人々の思考や感情をデジタル化し、それを生者が直接アクセスできるようにした小型の装置だ。要は亡くなった人とホログラムでコミュニケーションが... 2024.02.13 ショートショート
ショートショート しゃべりすぎゆんば 「ユンバ、テーブル下まわりを掃除して。あと、炊飯器を起動して」 「かしこまりました。炊飯器を起動。1時間を目安にお米が炊きあがります」 自動お掃除ロボ・RX‐78ユンバがテーブル下へ向かって動き出した。 ピッ、という音が鳴り、炊飯器のボタ... 2024.02.12 ショートショート
ショートショート 占い師は語る 「そこのお嬢さん。一つ占っていかないかい?」 駅へ向かおうと脚を進める由美子は路地で女に話しかけられた。 小さなテーブルに水晶玉をのせ、薄紫のローブをかぶる、いかにもな見た目の占い師だった。 「お願いしようかしら」 由美子はテーブルの前に置... 2024.02.10 ショートショート
ショートショート 細工アパート ハイツとどろきにはおじいさんが住んでいる、らしい。 陽太は隣人を見たことがなかったが、不動産曰く陽太の借りた201号室の隣、202号室にのみ現在入居者がいるのだそうだ。たしかに夜は部屋の明かりがついているが、どうもシステマティックというか。... 2024.02.10 ショートショート
ショートショート つまるところ 「おはようございます、部長」 「ああ、おはよう。今日はどうした、休むのかい?」 「実は今、○○橋の上にいるんですよ。ああ、車でですよ? さすがにのんきに散歩してここまで来たわけではないです。徒歩なら40分はかかってしまいますからね。いやー橋... 2024.02.08 ショートショート
ショートショート ロボ助 ある未来のお話。テクノロジーが発展し、人々の生活にロボットが欠かせない存在となった時代のことです。 5歳になったばかりの少年は、『フレンド』と共に楽しい日々を過ごしていました。 『フレンド』は人間良成長プログラムの一環として、国から義務的に... 2024.02.07 ショートショート
ショートショート おもてなしバス ボロいアパートに住んで失敗した、と思った。 風呂に入ろうと蛇口を回す。水が出る。だが一向にお湯はでない。 今日は夕方まで雪が降っていたためかなり冷え込んでいた。そのせいでお湯が出なくなってしまったらしい。安いアパートにはたまにある。俺が体験... 2024.02.05 ショートショート
ショートショート ある日の会議 「では会議をおこなう。今回の議題は__」 会議室で8つの席、そのうちに座るひとりが話始める。 私は窓から見える位置に座っているため、外の景色を眺めてみた。すでに人がゾンビのようになって路上を埋め尽くしていた。 私の働く製薬会社が密かに研究を... 2024.02.03 ショートショート
ショートショート 味見検定 「今日は僕がビーフシチューをつくるよ」 そう宣言した彼は、冷蔵庫を開けて必要な食材を取り出した。 「手伝おうか」 「ううん。まかせて。ゆっくりしてて」 優しいところが彼の美徳だが、私が知る限り彼に料理経験はない。 部屋に戻るプランも考えたが... 2024.01.30 ショートショート
ショートショート やがのいけこうえんで待つ 「貴様の大切な六歳の娘は預かった。返し欲しければ矢賀野池公園に来い」 「待ってください! 娘の、由衣の声を聞かせてください」 「いいだろう。ちょっと待ってろ」 「パパー、パパ―」 「冗談じゃないことはわかったろ。今から二時間後に1000万用... 2024.01.30 ショートショート