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きみしらリメイク

『君と知らずに恋の行方』のリメイクが発売されていた。BGMが特に人気で、界隈でもそこが今でも評価されている名作だ。アニメ化もされているし、コンシューマー版もでていた。リメイクが出ることは情報として知っていたが、もう20年以上前の作品だし発売...
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セイレーン

「ほら、さっさと起きなさい!」一気に冷たい空気を感じた。ぼやけた頭で今の状態を確認する。窓が開いてる、目の前の女性が掛け布団をもってこちらをにらんでいる。「母さん、今から買い物に行ってくるから。台所に置いてある、朝食食べちゃいなさい」「あー...
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フルネームプレート

「ご注文をお伺いします」フロアのベルを押してすぐ、近くのウェイターが声をかけに来た。「包み焼きハンバーグセットをパンでお願いします。あとドリンクバーも」男は視線をメニューからスタッフの青年へと向ける。まだ高校生だろうか。それにしてもネームプ...
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催眠術士な彼女

徹が昼寝から起きて、日が沈みそうな時間に掃除をしていると、玄関のチャイムが鳴った。ドアを開けると五円玉に紐を通した、いかにもなアイテムをぶら下げている彼女が立っていた。「あなたはだんだんタキシードを着たくなーるー」紐を持って五円玉を左右に揺...
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ネクロリンク

雄太は『ネクロリンク』が一般的に普及し始めたことに、心の底から感謝していた。『ネクロリンク』は亡くなった人々の思考や感情をデジタル化し、それを生者が直接アクセスできるようにした小型の装置だ。要は亡くなった人とホログラムでコミュニケーションが...
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しゃべりすぎゆんば

「ユンバ、テーブル下まわりを掃除して。あと、炊飯器を起動して」 「かしこまりました。炊飯器を起動。1時間を目安にお米が炊きあがります」 自動お掃除ロボ・RX‐78ユンバがテーブル下へ向かって動き出した。 ピッ、という音が鳴り、炊飯器のボタ...
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占い師は語る

「そこのお嬢さん。一つ占っていかないかい?」 駅へ向かおうと脚を進める由美子は路地で女に話しかけられた。 小さなテーブルに水晶玉をのせ、薄紫のローブをかぶる、いかにもな見た目の占い師だった。 「お願いしようかしら」 由美子はテーブルの前に置...
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細工アパート

ハイツとどろきにはおじいさんが住んでいる、らしい。 陽太は隣人を見たことがなかったが、不動産曰く陽太の借りた201号室の隣、202号室にのみ現在入居者がいるのだそうだ。たしかに夜は部屋の明かりがついているが、どうもシステマティックというか。...
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つまるところ

「おはようございます、部長」 「ああ、おはよう。今日はどうした、休むのかい?」 「実は今、○○橋の上にいるんですよ。ああ、車でですよ? さすがにのんきに散歩してここまで来たわけではないです。徒歩なら40分はかかってしまいますからね。いやー橋...
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ロボ助

ある未来のお話。テクノロジーが発展し、人々の生活にロボットが欠かせない存在となった時代のことです。 5歳になったばかりの少年は、『フレンド』と共に楽しい日々を過ごしていました。 『フレンド』は人間良成長プログラムの一環として、国から義務的に...