ショートショート

ショートショート

動物の知能

人間に知能が近い生物と会話ができるヘッドギアが開発された。このヘッドギアは人と動物両者の頭部に装着する。どちらかがしゃべるとその言語が相手側の言語に変換される仕組みになっていた。初の実験の対象はイルカになった。脳が人間よりも大きいこと、非常...
ショートショート

あなたへの手紙

手紙が来た。これで14日連続。 差出人はyume子。便箋が一枚。ただし白紙。なにも書かれていない。不気味だが警察に言うのも億劫、ましてや鑑定依頼する気にもなれず二週間がたった。二週間前の自分を思い出してみる。俺の人生に変わった要素はない。何...
ショートショート

羊を数えても寝られない

男にとってその日は、寝付けない夜だった。男は古典的すぎて今は誰もやらない手法をためすことにした。「羊が一匹、羊がニ匹……」羊はスムーズに柵を飛び越えていきます。「羊が百二十三匹__ああ駄目だ、ねれない!」男はこのまま朝まで数え続けることにな...
ショートショート

お足元にご注意ください

『お足元にご注意ください』とかかれた看板を見つけた。水族館のペリカンやカピバラと触れ合えるコーナーの一角に僕はいる。その看板はそのまま入り口付近に出れる階段の近くにあった。僕が気になったのは、その看板に描かれた絵だった。階段をすってんころり...
ショートショート

ある男たちの会話「無駄死に」

「はい、おまちどうさま。とんかつ定食」定食屋の店長がわざわざ料理を運んできた。今はバイトの人はいないらしい。「にいさんが新宿にいるなんてめずらしいっすね。仕事ですか?。いや仕事以外で来ないか」へらへらとしていて猫背で話しかけてくる若者を男は...
ショートショート

しんかんせん

「2日もいれば馴れてくるものだな」一昨日、出張で大阪に向かうために乗り込んだ新幹線が原因不明のトラブルにより制御できなくなった。どこを目指すでもなくこの電車は走り続けている。暴走してはいるもののスピードは150㎞をキープしている。窓から飛び...
ショートショート

もつれ

理路整然と並べた言葉に感情はついてきているのだろうか。引用してきた言葉に聞こえてしまう。 痴情のもつれとは怖いものだと思う。自殺、殺人、etc……物騒な事態になりかねない。 些細なことで警察沙汰になるのもいただけない。わたしはそういった者た...
ショートショート

完全予約制の本屋

その本屋は電子書籍が当たり前になった現代で、紙の本愛好家たちのちょっとした有名スポットだった。事前に連絡をとり、入ることのできる完全予約制の古本屋『わがまま』。店内にいられる時間はきっかり1時間。予約の際に指定した時間から1時間であるため、...
ショートショート

カレンダー

私はカレンダーが好きだ。1からスタートして足されて、また1にリセットされる。一日は長いと感じることが多いのに、1へのリセットが起きるとあっという間だったなと感じさせてくれる。そんな不思議な12枚の紙。28~31が最高値なのも面白い。30で統...
ショートショート

バトルスポーク

「ひいろ君、新たな武器が完成したぞ!」「やりましたね博士! これで憎きジャマー団に立ち向かうことができますね」ひいろたちの小さなヒーロー組織は、大手悪の組織ジャマー団に手も足も出なかった。彼らの財力を存分に振るった数々の強力な武器や道具にか...