ショートショート

ショートショート

オタクな姉と

「等身大フィギュア80万だと!? 買わねば」騒がしい独り言に、またかと、真奈はうんざりする。彼女にとって姉の柚樹の独り言は面倒くさい状況になったサインだった。「お姉ちゃん。どうしたの?」「おお妹よ。聞いてくれ実は『A#3』の私の推しが現実に...
ショートショート

筐体壊れがち

偶然が重なることでその人の特徴を位置づけることがある。雨男(女)がいい例だと思う。遠出をすると、当日は雨が降っているケースが多いから自分や特定の相手に冗談でつける異名みたいなもの。科学的根拠なんて一ミリもないし、何だったら2度の偶然程度であ...
ショートショート

ユニゾンシガレット

2050年、人間とAIが共存する社会が実現した未来。そんな世界で、私は最新型のAIパートナー「ユニゾン」を手に入れた。ユニゾンは人間のように感情を持ち、共感してくれる存在として世に出回りスマホに劣らない所持率を誇るようになった。ユニゾンはパ...
ショートショート

アンドロイドの夢

20××年。地球上では人類は滅亡していて、過去に人類が作り出したアンドロイドだけが生きている世界になっていました。アンドロイドは人間に近い存在でしたが、夢を見ることがありません。そもそも眠る必要がないため、夢というのは知識として学習しただけ...
ショートショート

自尊心自販機

「自尊心自販機?」男は公園にある自販機が異様さに足を止めました。自販機には『内側からくる自己肯定感が大切! 自分を受け入れ、自信を持つことができるようになるドリンクはいかがですか。自尊心自販機』とダサいフォントの太字で書かれていました。男は...
ショートショート

偶然の出会い

私は普通のサラリーマンだった。仕事が終わると、帰り道にいつもと同じように駅前のコンビニに寄ってビールを買って帰る。ある日、帰り道で偶然にも一人の女性にぶつかってしまった。その女性は私を強く怒鳴りつけたが、私は深く謝罪し、彼女を安心させた。そ...
ショートショート

ゆうしゅうなわがこ

「ゆうこ。父さんが相談に乗るからでてきなさい」母さんから言われてとおりの言葉を吐いた。ノックを三回、また三回とするが扉が開く気配はない。ドアノブをまわす。古くなっているのか滑らかに回らなかった。娘の様子がおかしいと、母さんから相談されたのは...
ショートショート

電撃チップ

20XX年、時代が変わっても犯罪が消えない現状に業を煮やし、政府は新たな試みをひそかに進行しているという噂が流れ、国中を震撼させた。それは、子供のころ予防接種等で病院にお世話になった際、身体に注射される、人を心臓麻痺により死に至らしめる殺人...
ショートショート

中華街リスニング

中華街は歩いているだけで楽しい。旅行できたというのもあるが、目新しさでなんでも面白く感じる。豚肉を焼いたあの食欲をそそる匂いがいたるところから流れてくる。お腹の虫がなりっぱなしだった。中華街には初めて来た。神奈川県に来たのだって初めてだ。改...
ショートショート

とがったロック

ライブやコンサートでは、マナーの悪い人間は必ずいる。動画を撮るのが禁止されていても、堂々とスマホで撮り続ける人もいる。スマホが普及した現代ではライブ会場での民度はかなり悪いものとなっていた。多くの人が禁止された撮影をし、それを注意する人がい...