「乗ったら死ぬよ!」
ジェットコースターに並ぼうとしている時だった。物騒なことを言う子どもの声がして、僕は友人とともに声のした方を向いた。
声の方には僕たちが乗ろうと向かっていたジェットコースターがある。ジェットコースターは建物の入り口からコースター乗車口まで階段でジグザグに移動するようにできていた。
そのジェットコースターの乗車口付近の手すりに二人。その真下、建物の入り口付近に三人の小学生の男女グループがしゃべっている。
出口付近の小学生は手すりを、落ちるという発想が抜け落ちてしまったかのように超えそうな勢いで前姿勢になっていた。
僕たちは建物へ近づきつつ、子どもたちの楽しそうな会話を、盗むというには堂々としすぎた様子で盗み聞きをした。
どうやら先ほどの声は乗車口付近の小学生が、今から乗るか悩んでアトラクションの前にいる子どもたちに言っていたみたいだった。
「どうだったの?」建物入り口の子どもが何とも不安とうらやましさが入り混じった表情で尋ねる。
「「やばいよ!」」
多分聞きたいのはもっと具体的なことだよ。あまりに感情的な返事に思わず心の中でツッコミをいれる。
乗った本人たちはテンションが上がりきった様子で語彙力の欠けたこと返事しかしない。
建物入り口の小学生たちは言葉ではなく、彼らの興奮を基準に判断したのか。乗車口まで移動し始めた。
「生きて帰って来いよーー!」
乗車口にいた二人は、移動する仲間に手を振りながらアトラクションを出てった。
「過剰な言い方だ」
友人が笑いながらいった。
「小学生あるあるだね」楽しそうな小学生の後を追い、僕たちは乗り口へ移動した。