昔々、かわいい小さな女の子がいました。
ある日、その子を一番に可愛がるおばあさんが、その子に合うトランスペアオキサイドレッド色のビロードの頭巾をあげました。
そのトランスペアオキサイドレッド色のビロードの頭巾はその子によく似合っていたので、その子はいつもトランスペアオキサイドレッドずきんちゃんと呼ばれていました。
ある日、お母さんがトランスペアオキサイドレッドずきんに言いました。
「おいで、 トランスペアオキサイドレッドずきん。ここにケーキが一つとワインが一本あるわ。
おばあさんのところへ持って行ってちょうだい。おばあさんは病気で弱っているの。これを食べると体にいいのよ。
部屋に入ったら、おはようございます、というのを忘れちゃだめよ。ご挨拶の前にあちこち覗きこんだりしないでね」
「よく気を付けるわ」と トランスペアオキサイドレッドずきんはお母さんに言って、約束の握手をしました。
おばあさんの住んでいる森をあるいていると狼に会いました。
トランスペアオキサイドレッドずきんは狼が悪い獣だと知らなかったのでまったく怖がりませんでした。狼は言いました。
「こんにちは、あかずきんちゃん」
「ご親切にありがとう、狼さん」
「どこへ行くんだい、あかずきんちゃん?」
「森にすんでいるおばあさんのところよ」
トランスペアオキサイドレッドずきんは丁寧に道を説明をしました。
狼はそれを聞いて、おばあさんもこのお嬢ちゃんも上手いこと食べてしまおうと考えました。
狼はトランスペアオキサイドレッドずきんに「おばあさんに摘んだばかりの花束を持っていくときっと大喜びするよ」と促しました。
トランスペアオキサイドレッドずきんはそれは名案だと思い、母親との約束も忘れて花を摘みに行きました。
その間に狼はまっすぐおばあさんの家へ走っていき、おばあさんを食べてしまいました。
それから、狼はおばあさんの服をきて、帽子をかぶり、ベッドに寝てトランスペアオキサイドレッドずきんを待ちました。
花束をもったトランスペアオキサイドレッドずきんがおばあさんの家に行くと、おばあさんは顔まで深々と帽子をかぶっていて、とても奇妙に見えました。
「まあ、おばあさん、とても耳が大きいわ」とトランスペアオキサイドレッドずきんは言いました。
「あかずきんの声がよく聞こえるようにだよ」と返事。
「だけど、おばあさん、とても目が大きいわ」とトランスペアオキサイドレッドずきんは言いました。
「あかずきんが良く見えるようにだよ」
「だけど、おばあさん、とても手が大きいわ」
「あかずきんをよく抱けるようにだよ」
「だけど、おばあさん、」
トランスペアオキサイドレッドずきんはそこで言葉を切ると、花を摘むために持ち歩いている鋏をオオカミの目玉に突き刺しました。
「あなたはおばあさんじゃないわ」
「ぎゃあー!」
狼は目を抑えベッドで叫び声をあげました。トランスペアオキサイドレッドずきんは構わず顔中に穴をあけ、喉を刺しました。
狼はトランスペアオキサイドレッドずきんにどうして、と潰されていない目を見開いて訴えました。彼女は答えます。
「このずきんは赤色じゃないわ。トランスペアオキサイドレッドよ」
狼は、いや赤色じゃないか、と伝えようとしましたが声にはなりませんでした。