タイトル『銃声』
(内容)
この作品は、山城今日国が執筆した加古中市シリーズの1作目です。
この小説は、加古中市警の拳銃が、持ち逃げされたことにより、次々と事件を引き起こしていくストーリーです。
この小説の魅力は、6発の銃弾の行方が物語のカギを握っているという点です。
アパートでの射殺事件、そして豪華客船内で一人が撃たれる事件など、事件は次々に起こりますが、
常に6発の銃弾の謎は提示され続けます。読者は、どの謎を追いかけるべきかを考えながら、物語に没頭していくことができます。
また、この小説には、ユーモアなやりとりやコミカルな文章が多くあり、その一見事件に関係ないようなコントやギャグに隠された伏線が多数存在しています。
テンポの良いストーリー展開が、読者の手を止めず、次のページをめくらせます。
作品を楽しむ1つの視点として、今回の魅力的な設定として、6発の銃弾がどう使われたのかという問題が挙げられます。
撃たれた順番は提示された通りなのか、順番を変えてみたらどうなるのかという疑問も浮かびます。
また、密造銃という問題により、弾の補充ができないため、音を抑える手段が原始的で限定されている点も読み手にフェアさを与え、解決編での納得感につながります。
密室状態にある状況での銃声のアリバイの読み解きなど、ミステリーとしての要素も充分に備わっています。
山城今日国の『銃声』は、面白いコメディとミステリーが融合した作品であり、長編でありながらその長さを感じさせない手軽さがあります。
ミステリー作品を読んでみたいけれど、難しそうで苦手という人にもおすすめの作品です。
さて最後に、この手紙をお読みの警察関係者の君は疑問に思ったことでしょう? 6発の銃弾の行方なんて問題じゃない。
「だって盗まれた拳銃は2丁あるじゃないか」って。その答えのためにこの手紙をご用意した。
余計な疑念が残る要素は排除しておかないと、美しさにかける。フェアじゃない。美しさとは土星の輪のように洗練されていなければいけないと私は思う。
今回の事件において拳銃は1丁しか使わないという宣言が必要だと私は判断した。
ちなみに登場人物たちの心情は作家ながらの想像で補っている。本当は文章にしてあげるほど魅力的な者たちではないよ。まあ、すでに事情聴取をした後だろうから知っていると思うけど。
ぜひ、この連続殺人の真相を解き明かせるかな。健闘を祈るよ。
P.S.もう一丁の拳銃はシリーズ2作目にご期待ください。あなたの殺人者より