『お足元にご注意ください』とかかれた看板を見つけた。
水族館のペリカンやカピバラと触れ合えるコーナーの一角に僕はいる。
その看板はそのまま入り口付近に出れる階段の近くにあった。
僕が気になったのは、その看板に描かれた絵だった。
階段をすってんころりんしている人のアイコンがいる。
その様子を階段の上で見ているプレーリードッグが2匹。
一匹は逃げるように階段を駆けあがっていて、もう一匹は転んでいる人をジっと眺めていた。
動物は近くにコーナーがあるからという理由で、マスコットの役割として書かれたのだろう。
ただこの絵からはプレーリードッグが人を突き落とすことがあるので、
足元(階段もだがプレーリードッグに)ご注意ください、というメッセージ性を感じる。
もっと素直に物を見よう。
僕は穿った?、偏った?、すさんだ?考えを頭から追い払うように動物たちの方に視線を移動させた。
先ほどまで楽しそうに穴を掘って遊んでいたプレーリードッグがこっちを見ていた。
低い柵越しに真っ直ぐににらんでいる。獲物を見つめる狩人のようだ。
「いや、まさかね」
僕は一度後ずさりすると、クラゲコーナーの方へと移動した。