理路整然と並べた言葉に感情はついてきているのだろうか。引用してきた言葉に聞こえてしまう。
痴情のもつれとは怖いものだと思う。自殺、殺人、etc……物騒な事態になりかねない。
些細なことで警察沙汰になるのもいただけない。わたしはそういった者たちとは縁遠い人生を送りたいと思っている。
テレビでこんな話を聞いたことがあることを思い出した。
相手が浮気しているんじゃないかと疑った瞬間から浮気していると確定してしまうらしい。
これは、思い込みのなす業だ。浮気しているだろうという視点から証拠になりそうなものを見つけ続け、相手の意見も聞く耳もたない状態になってしまう。
本当は浮気していなくても『そいつは浮気をしている。私を裏切ったんだ』と相手を信用しなくなるという意味らしい。
裏切ったのは自分なのに。
だから彼が説明してくれた一つ一つを私は嘘くさいと思ったのかもしれない。
今思うと筋道が通っているまっとうな話だったような気がする。あまり詳しく思い出せないけど。
本当に大事な時には、言葉なんて意味がないみたいだ。
「言葉で言ってくれないとわかんない」なんてわたしの口癖みたいなものだったのに、なんてわがままなんだ。
ああどうしようか。ここに残ったのはだんだん冷静になってきた頭と冷たくなった彼だけ。
理路整然と並べた言葉に感情がついてきていたのだろうか? 答えはもう聞けない。