ショートショート 探偵の推理劇 一同が大広間に集まっていることを確認するように探偵はまわりを見渡した。「待ってください。あなたは本当に犯人が分かったとそうおっしゃるのですか?」依頼人の妻である頼田瞳は30分以上待たされているせいか、苛立ちを隠せずに探偵に問いかける。探偵は... 2024.03.31 ショートショート
ショートショート カラスの館 夕暮れにカラスが鳴いた。雄二はびくっと体を震わせ、今の状況に冷静さを取り戻していた。自分たちは悪いことをしようとしている。本当にこのまま行動してもいいんだろうか。雄二は誰かに確認しなくちゃ気が済まなくなった。「ねえ、本当に入っていいの?」半... 2024.03.30 ショートショート
ショートショート 動物の知能 人間に知能が近い生物と会話ができるヘッドギアが開発された。このヘッドギアは人と動物両者の頭部に装着する。どちらかがしゃべるとその言語が相手側の言語に変換される仕組みになっていた。初の実験の対象はイルカになった。脳が人間よりも大きいこと、非常... 2024.03.29 ショートショート
ショートショート あなたへの手紙 手紙が来た。これで14日連続。 差出人はyume子。便箋が一枚。ただし白紙。なにも書かれていない。不気味だが警察に言うのも億劫、ましてや鑑定依頼する気にもなれず二週間がたった。二週間前の自分を思い出してみる。俺の人生に変わった要素はない。何... 2024.03.28 ショートショート
ショートショート 羊を数えても寝られない 男にとってその日は、寝付けない夜だった。男は古典的すぎて今は誰もやらない手法をためすことにした。「羊が一匹、羊がニ匹……」羊はスムーズに柵を飛び越えていきます。「羊が百二十三匹__ああ駄目だ、ねれない!」男はこのまま朝まで数え続けることにな... 2024.03.27 ショートショート
ショートショート お足元にご注意ください 『お足元にご注意ください』とかかれた看板を見つけた。水族館のペリカンやカピバラと触れ合えるコーナーの一角に僕はいる。その看板はそのまま入り口付近に出れる階段の近くにあった。僕が気になったのは、その看板に描かれた絵だった。階段をすってんころり... 2024.03.26 ショートショート
ショートショート ある男たちの会話「無駄死に」 「はい、おまちどうさま。とんかつ定食」定食屋の店長がわざわざ料理を運んできた。今はバイトの人はいないらしい。「にいさんが新宿にいるなんてめずらしいっすね。仕事ですか?。いや仕事以外で来ないか」へらへらとしていて猫背で話しかけてくる若者を男は... 2024.03.25 ショートショート
ショートショート しんかんせん 「2日もいれば馴れてくるものだな」一昨日、出張で大阪に向かうために乗り込んだ新幹線が原因不明のトラブルにより制御できなくなった。どこを目指すでもなくこの電車は走り続けている。暴走してはいるもののスピードは150㎞をキープしている。窓から飛び... 2024.03.24 ショートショート
ショートショート もつれ 理路整然と並べた言葉に感情はついてきているのだろうか。引用してきた言葉に聞こえてしまう。 痴情のもつれとは怖いものだと思う。自殺、殺人、etc……物騒な事態になりかねない。 些細なことで警察沙汰になるのもいただけない。わたしはそういった者た... 2024.03.13 ショートショート
ショートショート 完全予約制の本屋 その本屋は電子書籍が当たり前になった現代で、紙の本愛好家たちのちょっとした有名スポットだった。事前に連絡をとり、入ることのできる完全予約制の古本屋『わがまま』。店内にいられる時間はきっかり1時間。予約の際に指定した時間から1時間であるため、... 2024.03.12 ショートショート