私を見つめる彼。檻の中で私もじっと彼を見つめ返す。
『外に出してくるの?』
彼は微笑む。
外の世界はまぶしいくらい光に満ちていて、自由に動き回れる場所のように見える。
金属の転がる音とともに手がこちらに近づいてきた。
ゆっくりゆっくりと焦らすような動きに、私は期待と不安が入り混じる。
よく見ると、彼も同じ瞳をしていた。
その手が私の体に触れる。
『痛い』
彼の乱暴な手が爪を立てる。いつの間にか彼の目から不安は消え、期待と喜びをそのギラギラした瞳に宿していた。
心臓が跳ね上がったように感じる。
私の小さな体が少しだけ震えた。宙に浮く感覚。私も彼に夢中になっていた。
体が彼の方に強引に引き寄せられた。
獣のような瞳が、私を捉えて離さない。
ここに来てから、どれくらいの時間が経ったのだろう。時間の感覚はすでに薄れ、私はただ、透明な壁の向こうに見える人間たちを見つめる日々を送っていた。
私をこんなにも求めてくれたのは、彼が初めてだった。
少し乱暴だけど私にはわかる。彼は根は優しい人。
これからは、彼と一緒にいられる。
視界が暗くなった。
彼のもう一つの手が私を包む。温かい手の中に私は収まった。
彼は微笑みを浮かべている。その顔は何かを成し遂げた喜びに満ちていた。
だが、その時、彼はふと時計に目をやり、突然焦り始めた。時間が思ったよりも遅いことに気づいたようだ。
彼はゲーセンの袋に私を雑に詰め、走り出した。