最高で最低な休日

ショートショート

朝は少し早起きして、澄んだ空気の中でコーヒーを一杯。
窓から見える景色は、森の木々が朝日に輝いている。
時間を気にせず、ゆっくりとした朝を過ごすことができて贅沢な気分。
今日は日曜日。会社は休みだ。何も急ぐ必要がないその瞬間を楽しむ。

午前中は創造的な時間に。お気に入りの本や音楽に触れたり、自分の趣味に没頭できる時間を過ごす。
インスピレーションが湧いて、言葉がスムーズに流れるように書ける日だ。何か新しいアイデアや物語が生まれてくる感覚に胸が躍る。
今日の日記に書くフレーズを走り書きしておく。夜が楽しみだ。

昼食は友人と美味しい料理を囲んで、笑い声を交わしながらゆっくりと味わう。
テラス席で、優しいそよ風を感じながら、シンプルで新鮮な料理を味わう。心が満たされるひとときだった。

午後は冒険の時間に。自転車で遠くまで走って、新しい街や場所を探検。知らないお店にふらっと立ち寄る。
リフレッシュされるような景色や、新しい経験が私を元気づけてくれる。

夕方になると、少し落ち着いた時間を過ごす。夕焼けを眺めながらストレッチ。そのあとは静かな場所で本を読んだ。
気持ちのよい疲れが体に広がり、1日を振り返ると、満足感と幸福感が湧き上がってくる。

夜は、もう一度出かける。5年ぶりに会う同級生たちと星空の下で焚き火を囲んで語り合う時間。
暖かな炎の揺らめきと、パチパチと燃える音に耳を傾けながら、友人たちと近況報告や楽しい思い出、少し照れるが未来の夢を語り合った。
日常の小さな悩みや心配事が消えていき、ただそのひとときを心ゆくまで味わっていた。

そして、一日の終わりには、日記をつける。充実した一日を思い返し、自然と笑みがこぼれる。
心地よい疲労感。僕はベッドに横たわり「今日は本当に最高だったな」と心の中でつぶやき、深い眠りについた。

……ところが。

「それで?」

昼過ぎに偶然出会った会社の同僚の話に、側頭部付近の血管がピクッと動くのを感じる。少し?イライラしているかもしれない。

「実はこれで5回目なんだよ」

同僚はこの自慢げな一日が繰り返され、明日がやってこないと語ってきた。彼はこの手のつまらない冗談をいうようなタイプではない。にわかに信じがたいが本当のことなのだろうと思う。
しかし、まあ。

「どうしたらいいと思う?」

「とりあえず、午後から友人たちと会うのをやめたら?」

ループしているのなら日常の普段しないパターンに何かヒントがあるだろうと適当な意見を言ってみる。
彼は全然辛そうではない。深刻に受け止められないといった表情だ。そんな表情の彼に俺も真面目に聞くのをやめていた。

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