私はカレンダーが好きだ。
1からスタートして足されて、また1にリセットされる。
一日は長いと感じることが多いのに、1へのリセットが起きるとあっという間だったなと感じさせてくれる。
そんな不思議な12枚の紙。
28~31が最高値なのも面白い。30で統一しない不揃いさがありつつ、だが毎月で見ると数値は同じだ。5月なら毎回31で終わる。
不揃いに整頓されているのだ。まさに知らない人間が勝手に決めたルールらしさがそこにある。
それを当たり前と感じ続けられる感覚さえ人らしい。
一日を短くしてくれるのは、いつもと違うなにかが起きることだ。
慣れていない作業、初めてやる作業をした日は早く感じる。
一週間は面白い。月曜日に悩んでいたことが金曜日あたりで突然パッと答えを閃くことがよくある。
おかげで失敗しないパターンを何個も考え付くことができた。
一か月は達成感がある。月の頭になると周りの連中も機嫌がよく、羽振りがいい。昨日もおかずを多めによそってもらえた。
一年は後悔が多い。もっとこうしておけばよかった。目標を達成できなかった。無駄な時間を過ごしてしまったとかあーでもないこーでもないと思考してしまう。まるで何もかもが進んでないかのように。
4月2日の今日、このカレンダーともお別れだ。
こいつとは4か月だけの付き合いになってしまったなと壁からとり、すっかり汚れてしまっている5冊のカレンダーの束の上に乗せる。
ふとカギが開く音が聞こえ、声を掛けられる。いよいよだ。
雲一つない青空がいつもよりきれいに感じて両手を重ね伸びをする。気持ちがいい。
「さて、復讐しに行きますか」