歳をとると何でも教えてやりたいと思うようになる。　目の前にいる親子のような二人に話し続ける。　「象の花子はな、今はもういないがな。ここにはじめてきたときはそれはもう人見知りで、飯もくわない。どうしようってな、当時の担当の親方が頭を抱えていて...

小学六年生の夏。太郎たち三人の少年たちは、街のはずれにあるぼろ空き家にこっそり侵入した。　そこは誰からも見捨てられた場所で少年たちはここを秘密基地にしたかった。太郎は普段、機械をばらしては、組み立て直して遊ぶことが好きだったが、友人の秘密基...

昔々、かわいい小さな女の子がいました。　ある日、その子を一番に可愛がるおばあさんが、その子に合うトランスペアオキサイドレッド色のビロードの頭巾をあげました。　そのトランスペアオキサイドレッド色のビロードの頭巾はその子によく似合っていたので、...

この店よくつぶれないなと思う店ってあると思う。　店内で人の姿を見たことなく、外見もさびれていて、今にもつぶれてしまいそうな店。　わたし自身がそんな店に入ることは趣味としてもないし、見つけたとしても入ることはないだろうと思っていた。　この日ま...

ハナバナ研究所に両手に収まらないほどの金が運び込まれた。　研究で使うためのものらしいが、田舎にある研究所の珍しい話はすぐに近くに住む人たちに広まってしまった。　次郎はその研究所に真夜中忍び込んだ。　彼は賭け事に熱中する質で、借金まみれだった...

50年以上前にできたセキュリティソフトを開発する○○グローバルインテリジェンス。　その創業者スティーブの屋敷に、一人の泥棒が忍び込んだ。　男は巨万の富を持つスティーブの屋敷に眠る数億ドルの現金を欲していた。　彼の屋敷には誰にも知られていない...

タイトル『銃声』(内容)　この作品は、山城今日国が執筆した加古中市シリーズの1作目です。　この小説は、加古中市警の拳銃が、持ち逃げされたことにより、次々と事件を引き起こしていくストーリーです。　この小説の魅力は、6発の銃弾の行方が物語のカギ...

ここに一番多くいる生き物は間違いなく人間だろう。　「はなながーい」　「おおきーい」　私を指さして小さな人は笑う。私は生まれて50年以上になるがこの者たちはほぼ毎日飽きもせず指をさすことを繰り返す。いやきっと私に区別がつかないだけで同じ個体で...

ピテコスは高い知能を持った猿の集団だ。　彼らは人間たちの実験のために全員にスマートフォンを与えられた。彼らの知能をもってすればスマートフォンの使い方を理解するのに時間はかからなかった。　スマホでアプリをダウンロードして、テトリスやナンプレを...

自室の窓から空を眺める。澄み切った冬の青空にどうとも言葉にできない言えない感情を落ち着けていく。　友人の高貴から連絡が来たのがつい1時間前だった。言っていることがつかめず、とりあえず俺の家に来るように促した。　家の庭に自転車が止まった。俺は...